「たかがメモ1つ。されどメモ1つ。」
メモを取ることは誰にでもできる簡単なことにように思いがちですが、案外奥が深い作業です。メモをとる習慣は今後の長い社会人生活でも欠かせないスキルですし、早いうちにしっかりと必要なポイントを身につけておきましょう。
今回の記事では、若手社員の方向けに「成果を出すためのおすすめのメモの取り方」を全部で10個ご紹介します。
本記事を読むことで、皆さんのメモの取り方も1UPすること間違いなしです。
メモを取ることのメリット
今更ながら改めて、まずはメモを取ることのメリットについて考えてみましょう。普段皆さんはメモを取るときにどんなことを考えてメモを取っているでしょうか?
①備忘録になる
やはり最大のメリットとも言えるのが、聞いたこと・考えたことを目に見える形で書き留めておくことができることです。
ドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスの発表した「エビングハウスの忘却曲線」によれば、人は何かを学んだ際に、
- 20分後には42%忘れる
- 1時間後には56%忘れる
- 9時間後には64%忘れる
- 1日後には67%忘れる
- 2日後には72%忘れる
- 6日後には75%忘れる
- 31日後には79%忘れる
と言われています。わりと残酷ですね・・・泣
この割合を少しでも減らすためにメモを取り、備忘録として活用していきましょう。
②思考の整理ができるようになる
情報過多の今の時代、自分に必要な情報がどんなものなのかを自分で知るきっかけにもなります。
知り得た情報同士をつなぎ合わせて、自分なりに情報を整理・解釈することで思考の整理ができるようになります。
また、バラバラの情報を頭の中で整理しなおすことは、論理的に物事を考えられるようになったり、新しいアイデアが生まれてくるようになったりと多くのプラスの効果をもたらしてくれます。
③相手との信頼関係を築きやすくなる
熱心にメモを取る姿を相手に見せることはビジネスシーンで活かせるテクニックの1つです。
メモを取りながら話を聞くことで、「しっかりとあなたの話を聞いていますよ。」というメッセージを伝えることができます。
スマホでメモを取るという人もいるかもしれませんが、場合によってはそれが相手に不快感を与えてしまうこともあるかもしれません。
メモの取り方1つでも、相手との信頼関係の構築することにつながってきます。
メモの取るときのおすすめテクニック10選
ではここから、メモを取るときの具体的なテクニックを紹介します。はじめに今回ご紹介する10個のテクニックについてまとめておきます。
- 自分のルールを作る
- メモ帳は必ず手書きする
- 自分の気づきも必ずセットでメモる
- メモは30秒以内で書き留める
- メモ帳は1冊にまとめる
- グッとくる文房具を使う
- アイデアが浮かびやすい場所を把握
- 字は我慢できる汚さで書く
- メモはとにかく量にこだわる
- 定期的に見返す
以下から、1個ずつ解説していきます。
①自分のルールを作る
メモを取る時は、自分の思考を整理しやすくするためのルールを作りましょう。
ページの分割方法と分割したエリアにそれぞれどんなことを記入するかを決めるだけで、メモを取る手間はかなり効率化できます。他にもマーカーでハイライトをつける時のルールや、記号を使う時のルールを決めておくことも重要です。
今回は一例として、「メモの魔力」でもおなじみの前田裕二さんのメモ術と、ビルゲイツさんも活用している「コーネル式」と呼ばれるメモ術について紹介します。
前田さんのメモ
株式会社SHOWROOMの創業者として知られる前田裕二さんですが、SHOWROOMの立ち上げのきっかけになったアイデアもメモのおかげだと語っています。恐るべきメモの力です。
そんな前田さんのメモの取り方ですが、基本的に見開き2ページを使用してメモを取ります。
左右の見開きページに、「サマリー」「ファクト」「キーワード」「抽象化」「転用」の5つを記入していきます。具体的には、下記のようなイメージになります。
慣れるまでは大変な作業のように感じるかもしれませんが、自分のものにできたらかなり生産性の高いメモを取ることができるようになると思います。また、前田さんの場合、ボールペンの色ごとにも独自のルールを定めているそうです。上手に色分けすることで、ノートを見た時の判断力も高まります。
前田さんが紹介している色分け術はこんな感じです。
黒・・・ファクト
赤・・・最も重要なこと
青・・・やや重要なこと、参照、引用
緑・・・主観的な発想
ビル・ゲイツの「コーネル式メモ」
続いては、ビル・ゲイツさんのメモの取り方についてご紹介します。かの有名なビル・ゲイツさんも前田さん同様に、“メモ魔”として知られています。
ビル・ゲイツさんも前田さんと同様にノートの紙面を分割して使用しているという特徴があります。
ビル・ゲイツさんのノートの取り方は、「コーネル式」と呼ばれる手法をベースにしたものだとされています。
この「コーネル式」はコーネル大学のウォーター・ポーク教授が学生に向けて、効果的なメモの取り方を教える際に考案されたものだそうです。
実はこのコーネル式は、1940年代に開発されたものなのですが、いまだにメモの取り方として根強く支持されていて多くの大学が学生にこの手法を推奨しているようです。まさに世代を超えて愛されているメモ術ですね。
こちらも具体的なイメージをご紹介します。
このように、1ページを「メモ欄」「疑問点」「概要欄」の3つに分割して、それぞれ記入していく手法が「コーネル式」になります。前田さんの分割よりも数が少なく、すっきりと要点をまとめられそうな感じがします。
②メモは必ず手書きする
メモは必ず手書きで取ることがおすすめです。
メモを手書きで取ることは、スマホのメモ機能などでメモを取ることに比べて、記憶への定着度が高いことがさまざまな研究結果からも証明されています。
さらに手書きのメモなら、短時間で簡単な図解をメモに残すこともできます。これも手書きでメモを取る大きなメリットだと思います。
今の時代では、スマホなどでメモを取るという方も多いかと思いますが、デジタルのメモは手書きのメモを補足するためのものという認識にとどめ、まずは手書きでメモを取ることを心がけてみてください。
例えば、メモとしてスマホで撮影した写真データもできるかぎり、手書きのメモに書き起こすようにしましょう。
③自分の気づきも必ずセットでメモる
見聞きした内容を忘れないためにメモるということは重要ですが、これだけではもったいないメモの取り方に終わってしまいます。
見聞きした内容を整理するために、別の言葉に言い換えたり、自分の中で感じた気づきを書いたりすることでメモの効果は一段と高まります。
先ほどご紹介した、前田さんのメモの取り方もファクト以外の自分の気づきを記入できるような仕組みになっていますよね。
必ず自分の気づきもセットでメモを取るようにしましょう。そのときの気づきをセットでメモっておくと、見返したときにそのときの情景も思い起こしやすくなる効果もあります。
④メモは30秒以内で書き留める
何か自分の中でパッとひらめいたアイデアや、書き留めておきたいことが頭に浮かんだら、必ず30秒以内にメモするように意識してください。
というのも、人間の突然のひらめきは30秒〜1分という短い時間で頭から消えてしまうと言われてるからです。
皆さんも何かメモをしようとして、少し後回しにしただけで、何をメモしようとしたか忘れてしまったという経験がありませんか?
ノートが手元にないときは、ちょっとしたプリントやチラシに取り急ぎでメモするのも効果的です。
⑤メモ帳は1冊にまとめる
人によっては数種類のメモ帳を使い分けるという方もいるかもしれませんが、メモ帳はとにかく1冊にまとめることをおすすめします。仕事のメモも、自分の勉強のためのメモも、日頃思いついたアイデアを書き留めるメモも、すべて1冊で完結させることがベストです。
何冊のメモを使い分けるのはとても非効率です。どこのノートにどんな内容を書いたのか覚えておくのは大変ですし、数冊のノートを毎回持ち運ぶというのも手間がかかります。
1冊のノートを見返せば、自分の記したメモが全て見直せるという状態にしておきましょう。
1冊のノートでも、インデックスを貼ることで整理された綺麗なノートを作ることも可能です。僕もインデックスを貼って、仕事のメモやブログに関するメモなどをまとめて1冊のノートに書くようにしています。
⑥グッとくる文房具を使う
自分の気分が高まるようなお気に入りの文房具を見つけて、メモを取るということも大切です。これは、なかなかメモを取ることが習慣化できていない人には特におすすめしたいポイントです。
まずはお気に入りの文房具を使うということを動機にして、メモを取ることを習慣化できるようにしていくと良いと思います。
必ずしも高級感のある効果なボールペンやノートを使う必要はないですが、社会人として、ある程度は高級感のある文房具を使うのはマナーのような一面もあるので、まだ持っていないという方は、少し奮発して購入してみてもいいかもしれません。
ちなみに、僕が普段メモを取る際に使っているのは、ノートが「LEUCHTTURM1917(ロイヒトトゥルム1917)」で、ボールペンが「LAMY(ラミー)」です。ボールペンでは最近、「ジェットストリーム プライム」というジェットストリームの高級ラインのシリーズのものも使用しています。こちらもなめらかな書き心地でおすすめです。
ぜひみなさんもお気に入りの文房具で楽しくメモを取ってみてください。
⑦アイデアが浮かびやすい場所を把握
人によってその場所は異なると思いますが、自分のアイデアが浮かびやすい場所や空間があると感じている人も多いのではないでしょうか?事実、アイデアの浮かびやすさというのは場所によって差があると言われています。
有名なものの1つに「創造性の4B」と呼ばれるものがあります。
4Bとは、
- Bus(バスの中。移動中。)
- Bed(ベッド。寝ている時、またはその前後。)
- Bathroom(お風呂。トイレも含む。)
- Bar(バー。お酒を飲んでいる時。)
の頭文字からきています。
あてはまる場所があるという人も多いと思います。この4Bの近くにメモを取れる環境を作っておくというのも大事なポイントになってきます。
⑧字は我慢できる汚さで書く
メモを取るときに、とにかく綺麗な文字で書こうとする人もいるかと思いますが、それはNGです。
メモを取ることは綺麗なメモ帳を作ることが目的ではなく、自分の思考を整理したり、重要なファクトを書き留めたりすることが第一の目的です。
綺麗なメモ帳を作ろうとすると、途端にメモの内容が頭に入りにくくなります。ちなみに、会社経営者などの成功者と呼ばれる人たちは、メモを殴り書きする傾向が高いことが分かっています。一方で年収の低い人ほど、綺麗な字でメモを取る傾向が高いそうです。
とはいえ、殴り書きのように汚い字でメモを取ると、それだけでメモを取ることに対してモチベーションが下がるという人もいると思います。
そうした人はメモを「綺麗に書く」という発想から、「我慢できる汚さで書く」という発想にシフトしてみるといいと思います。
これだけの心掛けでも、メモを習慣化して正しい目的のもと、メモを取れるようになっていくと思います。
⑨メモはとにかく量にこだわる
メモを取りすぎて損だとか、悪いということは基本的にないと思います。もちろん、無駄が少ない質の高いメモを取るということも重要ですが、メモを取るときは量にこだわるのがおすすめです。
メモを取る内容としては、下記の3つは最低限必ずメモるのが良いと思います。
- 今、必要な情報
- 近い将来に必要な情報
- いつか役に立つかもしれない情報
普段の何気ないメモでも、点と点が繋がり線となって、新しいアイデアが生まれるということもあります。
一見無駄のように思われる情報も、気になれば必ずメモする癖をつけて、できる限りたくさんのメモを書き留めていきましょう。
⑩定期的に見返す
自分が過去にどんなことをメモしたのか、そしてそれからどんな気づきや学びを得ていたのかは少し時間をあけてから、見返すようにすることも欠かせません。
そうすることで、当時の自分の考え方を客観的に見れる体験ができるので、非常におすすめです。
また、記憶の定着を深めるという観点からも、反復してメモを見返す作業は大切です。
NGなメモの取り方
ここからは一方、避けるべきNGなメモの取り方についてもご紹介します。みなさんもうっかりやってしまっていないかチェックしてみてください。
①言い回しや表現をそのままメモする
話し言葉をそのままメモしていると、どうしても文字量が多くなってしまい非効率です。話を聞きながら、頭の中でうまく要約をして効率的にメモを取るようにしましょう。
この作業は慣れないうちは難しく感じられるかもしれません。はじめのうちできる限りたくさんのメモをして、その後にポイントを絞って書き直すということをしてもいいと思います。
「つまり〜〜」という表現を「→」というふうにメモするなど、記号やマークを効率的に使うのもおすすめです。
②5W1Hが抜け落ちている
何のためのメモなのかということにも左右される部分ではありますが、特に人に伝えるためにメモを取るときは5W1Hを意識してメモを取るようにしましょう。
そうすることで、相手にすっきりと分かりやすく内容を伝えることができるようになります。
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(誰が)
- What(何を)
- Why(なぜ)
- How(どのように)
この5W1Hを意識してメモを取るだけでも、メモの質はぐんと高まります。
③複数のノートでバラバラにメモを取る
せっかくメモをしたのに、そのメモを無くしてしまった経験は誰しも1度や2度あるのではないでしょうか?
必死にメモを探しても見つからなかったときの絶望感は本当に最悪ですよね。笑
よくどこにメモしたのかが分からなくなってしまうという人は、先ほどご紹介したようにメモを1冊にするだけでもかなり有効かと思います。
メモするときには日付を必ず記入する、定期的にメモを見返すということも大切です。
まとめ:メモで人生を変える
今回は、若手社員におすすめのメモの取り方のテクニックを10個ご紹介しました。
皆さんはどれぐらいすでに実践しているものがあったでしょうか?
最後に改めて、今回ご紹介した10個のテクニックをまとめておきます。
- 自分のルールを作る
- メモ帳は必ず手書きする
- 自分の気づきも必ずセットでメモる
- メモは30秒以内で書き留める
- メモ帳は1冊にまとめる
- グッとくる文房具を使う
- アイデアが浮かびやすい場所を把握
- 字は我慢できる汚さで書く
- メモはとにかく量にこだわる
- 定期的に見返す
実践しやすいものが多いと思いますので、ぜひ自分のメモの取り方を見直して効果的にメモをとる習慣づけを行ってみてください。
メモの取り方1つで自分の人生を大きく変えるということも不可能ではないと思います。今回ご紹介した、前田裕二さんもSHOWROOMのビジネスアイデアは自分のメモが原点にあったと言います。
皆さんも自分のメモの取り方のルールを確立して、効果の高いメモの取り方を目指していきましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。