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みずき
書いている人
「20代の副業とキャリアを考えるブログ」というコンセプトのもと、情報を発信中。同世代のビジネスパーソンを応援しています。

都内の平凡な大学を卒業し、本業は人事コンサルの会社に勤務しています。社会人4年目の25歳です。

これからの人事担当者のキャリアパスと求められる能力を解説!

目まぐるしく変化し続けるビジネスのなかで厳しい企業競争を勝ち抜くためには、競争力の最大の源泉となる「ヒト」の強化が欠かせません。昨今では、企業の持続的な成長とさらなる発展のために「ヒト」に投資をする企業が増加しています。

こうした状況のなか、人事部にはこれまでの役割とは異なる新しい役割を求められており、これからは人事部が会社をリードするような時代が到来し始めています。

それに伴い、人事担当者のキャリアパスやビジョン、そして必要となる能力も変わりつつあります。今回はこれからの人事担当者が目指すべきキャリアパスやそのために必要となる能力についてご紹介します。

目次

一般的な人事の役割

まずは、一般的な人事の役割についてみていきましょう。

人事部の普遍的な役割として挙げられることが多いものは次の6つです。

「採用」「育成」「評価」「報酬」「配置」「代謝」

これは僕が尊敬する株式会社人材研究所の代表である曽和利光氏が提唱している役割でもあります。

大手企業では人事業務が細かく細分化されており、それぞれを担当するチームがあることも多いですが、中小零細企業などではこうした業務を1人でカバーするということも珍しくはありません。

それぞれの役割について細かく見ていきましょう。

役割①:採用

会社の経営戦略からブレイクダウンさせた年間の採用計画の策定し、自社に必要な人材を獲得するための活動です。

一口に採用といってもその範囲は広く、採用担当者として応募者との面接から、人材紹介会社との連携や求人媒体への出稿、会社説明会の実施、採用管理ツールの導入など幅広い業務を担当します。

新卒・中途で採用担当者が別れているケース、または兼任のケースなどがありますし、企業によっては採用担当者が内定者フォローや入社後の定着フォローまでを担当することもあります。

役割②:育成

社員成長をサポートするための研修の設計・実施を担います。内製で完結する場合、または社外の研修会社や講師に依頼をして研修を実施する場合があります。

研修設計では新入社員・中堅社員・管理職社員など、あらゆる社員の層に適したレベルアップの機会を提供することが必要となるため、現場へのヒアリングや定期的なコミュニケーションが欠かせません。

優秀人材の確保が困難な時代で、企業の成長のためには今いる従業員のスキルアップを図ることが必要不可欠です。

役割③:評価

社員の能力・成果・役割などに対して適切な評価を行う活動になります。

社員の満足感や納得感の高い評価を実施することは社員のモチベーション向上や離職率の低下にも直結するため、自社に適した目標管理制度や評価制度を導入することが求められます。

最近はシステムを活用して評価管理を行う企業も多く、そうしたシステムの運用を担うこともあります。

役割④:報酬

人事評価の結果に基づいて、従業員に適切な報酬を支払う活動です。

報酬の決定は非常にセンシティブな部分ですが、一般的には同じ地域での同業種や同業他社との比較などを行いながら決めるケースが多いです。

また、インセンティブ制度を従業員をモチベーションを誘発する仕組みとして制定している企業もあります。

役割⑤:配置

いわゆる従業員の適材適所を実現するための活動になります。

限られた人材をどのように配置していくは自社の利益最大化につながる重要な意思決定となるため、さまざまな根拠に基づき戦略的に行うことが求められます。

近年では、タレントマネジメントを活用して定量的なデータをもとに人材配置を決定する企業も増加しています。

役割⑥:代謝

最後の代謝は採用の逆の意味で、人材を外部に退出してもらう組織の新陳代謝を指します。

最近は、大企業を中心に「早期退職優遇制度」などのニュースが飛び交っていますが、それもこの「代謝」に該当する活動と言えます。

以上の6つが人事部の主な役割として挙げられます。

変化しつつある人事の役割

ここからは、変化しつつある人事部の新しい役割についてご紹介していきます。

大きくは次の4つが挙げられます。

  1. 戦略人事
  2. 社員エンゲージメントの工場
  3. 人材開発支援
  4. カルチャーの醸成

新しい役割①:戦略人事

戦略人事とは、戦略的人的資源管理(Strategic Human Resources Management)のことです。

端的に言えば、これまで日本企業に多かった定型的なオペレーション業務から脱却し、事業戦略の実現をサポートするような戦略的な人事のことを指します。これは1990年代に、人事研究において世界的権威であるデイビッド・ウルリッチなどによって提唱された考えです。

人事部が自社の経営戦略を十分に理解し、部門としてそれの達成に向けた戦略やビジョンを持ったうえで、人材育成や人材配置、企業文化の醸成、エンゲージメント向上などの各施策に落とし込んで推進していくことが「戦略人事」と言えるでしょう。

従来の人事部の枠にとどまらず、人事部としての専門性を活かして経営に参与したり、会社のビジョン実現に貢献したりする重要なパートナーとしての機能を果たすことが鍵になります。

近年、この「戦略人事」の重要性は高まっている一方、実際に戦略人事が機能している企業の割合は約3割にとどまっています(『日本の人事部 人事白書2021』調べ)。

新しい役割②:社員エンゲージメントの向上

上記の戦略人事でも少し触れましたが、社員エンゲージメントの向上も人事部の役割の1つとして存在感を強めています。

従業員エンゲージメントの向上は国内外のあらゆる研究において、業績の向上・顧客満足度の向上・定着率の改善など、さまざまな効果効能があることが報告されており、こうした背景から多くの企業で取り組むべき重要課題として認識され始めるようになりました。

社員のエンゲージメントを測定するエンゲージメントサーベイも広く浸透しつつあり、各企業が自社メディアでそのスコアを公表するケースも散見されます。

最近では大企業を中心に、従業員エンゲージメントの向上を役割に持つチームを発足している例も少なくありません。そうしたチームでは、エンゲージメントサーベイの企画・実施や従業員のエンゲージメントを高めるための全社的な施策の立案などを行うことが多いようです。

新しい役割③:人材開発支援

今や終身雇用制度は崩壊して“就社”から“就職”へと移り変わるなか、エンプロイーエクスペリエンス(Employee Experience)、いわゆる「従業員体験」の重要性も増しています。

これまでは自社のみで役立つスキルを身に着けていれば一生安泰な時代でした。しかし、現在のミレニアル世代を中心とした若手のビジネスパーソンは社内外で通用するスキルや高い専門性の習得を切望しています。

企業としても優秀人材の確保や長期的に自社に高い技術力を持った人材を留めておくためには、こうしたニーズを汲んだ質の高い人材開発支援が必要となります。

こちらも大手企業を中心に、公式HPや採用サイトで自社の人材開発支援プログラムについて言及する例が増加しています。

新しい役割④:カルチャーの醸成

働き方の多様化が進み、テレワークも急速に普及した今日においては、なぜこの会社で働くのかという意義がこれまでよりも一層重要視されるようになっています。

会社としての一体感を保ちつつ、持続的な成長を目指すためには企業としての強いカルチャーの醸成は欠かすことができません。

自社のカルチャーを創造、浸透させるための社内施策を講じることはもちろん、自社のカルチャーをさまざまな媒体を通じて分かりやすく外部に発信することの重要性も高まってきています。

これからの人事に求められる能力

続いて、これからの人事に求められる能力やスキルについて考えていきましょう。

人事の役割が変化していけば、もちろんそれによって人事担当者に求められる能力も変化していきます。

今回は次の3つの能力を、これからの人事に求められる能力としてご紹介します。

  1. データ分析能力
  2. 心理学スキル
  3. SNSの運用スキル

①データ分析能力

社内に蓄積されるさまざまな人事データを、経営判断に活用できる価値あるデータに変換していく能力は間違いなく重宝されることでしょう。基礎的なデータ分析能力や統計学的な思考を身に着けた人事担当者の市場価値は高まる一方です。

日本国内でも先進的な企業ではビープルアナリティクス事業部を立ち上げて、膨大な人事データの収集・分析・活用に取り組み始めており、最適な人材配置や社員の能力把握、活躍予測、退職予測などに役立てています。

これまで人事の仕事はKKD(勘・経験・度胸)に頼りがちな部分も多かったですが、少しずつ「データドリブン人事」へとシフトしていくことが求められています。

②心理学スキル

個人の働き方やキャリアプランが多様化したことにより、これまで以上に従業員一人ひとりに寄り添ったサポートやキャリア開発が必要になりました。当然、個人が抱える悩みや課題感も多様化していると言えます。

そのため、人事担当者はさまざまな難題に対処することができる対応力のほか、従業員のことをよりよく理解するための心理学的なスキルが一層求められるようになるでしょう。

細かなケアを行い、従業員の感じる不安や悩みを早期に解決へと導くことで、従業員が安心してパフォーマンスを発揮することができる環境が提供できるようになります。

③SNSの運用スキル

これだけSNSが普及した今日においては、人事担当者が自社の採用アカウントを運用したり、実名でSNSを運用することは当たり前になりつつあります。

さまざまなSNSを駆使して、より多くの求職者に自社の魅力を伝えられる能力も今後さらに重要となるスキルです。

SNSを有効活用することで優秀な求職者が集まりやすくなったり、採用単価を抑えることができるようになったりと多くのメリットが期待できます。

ただし、最近は実名のアカウントを持つ人事担当者がSNSで炎上してしまう案件が後を絶ちません。コンプライアンスと倫理の遵守もますます欠かせないものとなるでしょう。

人事のキャリアパス

次は、代表的な人事のキャリアパスや今後増えていくであろうキャリアパスについてみていきましょう。

本記事では、以下の3つのキャリアパスを取り上げます。

  1. 人事部長・CHRO
  2. 人事(研修/採用/評価)コンサルティング会社へ転職
  3. フリーランス・兼業人事

①人事部長・CHRO

まずは、人事領域の専門性を高め続けて、人事部の中で着実にキャリアを積んでいくということが考えられます。

大企業の場合は人事業務の役割が採用・研修・労務などに細分化されていることが多いですが、この場合はまずはそのチームリーダーを目指すことがファーストステップになるでしょう。最終的には、人事業務を総合的に監督する人事部長などのキャリアを目指します。

一方で中小企業やベンチャー企業の場合は役割が大企業ほどは細分化されていないことが多いので、あらゆる業務を幅広く担当しながらできる業務を増やしていき、最終的にバックオフィス系の部門を統括する管理職へのキャリアアップを目指します。

最近では、先進的な大手企業や成長スピードの速いスタートアップ企業を中心に「CHRO(最高人事責任者)」と呼ばれる新しいポジションも生まれています。CHROはいわば、人事権を持った経営幹部としての役割が求められ、経営幹部との密な連携が必要となるポジションです。このCHROには、外部人材を引き抜いて抜擢するというケースも少なくありません。

②人事(研修/採用/評価)コンサルティング会社へ転職

人事担当者は人事部が日常的に感じやすい課題感や悩みについての理解があるので、人事担当者が主なクライアントとなるような人事系のコンサルティング会社で重宝されることも多いです。そのため、キャリアアップの選択肢として人事系のコンサルティング会社を選ぶことも賢明と言えます。

人事全般の知識を身に着けていることも大事ですが、どこかの領域に特化した専門性を備えていることも歓迎されやすいです。自分の得意領域や興味のある領域を明確にし、それのコンサルティングに特化した会社に転職することができれば自分のキャリアをドライブさせていくことができるでしょう。

じつは少し視野を広げてみるだけであなたが知らなかった可能性が見つかることもあります。人事コンサルタントへの転職に興味がある方は、キャリトレがおすすめです。キャリトレは、組織・人事コンサルタント系の求人や、最近注目のHRTech系の求人が豊富にそろっています。

ちなみに、人事専門の転職エージェント【人事プロパートナーズ】は人事向けに特化した転職サービスになっているので、人事領域での転職を考えているにおすすめです。

③フリーランス・兼業人事

人事として一定の専門性を持ち、経験を積むことができれば、人事コンサルタントとして独立したり兼業人事としてより多くの企業に貢献するという選択肢も視野に入れることができるようになってきます。

中小企業であれば単純に人事担当者が不足していることも多いので、企業の人事担当者としてを実務をサポートすることもあるでしょうし、大企業の場合は人事のプロの視点を取り入れたいというニーズは高いので、コンサルタントとして深い関係性を築きながら中長期的にサポートを行っていくことが求められます。

いきなりフリーランスとして独立するのはややハードルが高いので、まずは副業や兼業から取り組むのがベターです。人事の副業サービスとして有名なものがcorner(コーナー)です。あなたの人事のスキル・経験を活かして他の多くの企業に貢献することができるようになります。

人事の副業や兼業についてはこちらも記事でも解説をしています。

よりよいキャリアアップを実現するために

人事としてのキャリアアップについて見てきましたが、最後によりよいキャリアアップを果たすためのポイントについてもまとめておきます。

あなたの成長角度を高めたり、成長スピードを早めることができると思うのでぜひ参考にしてみてください。

今回は以下の2つのポイントをご紹介します。

  1. 資格取得
  2. 人事として繋がりを作る

①資格取得

たくさんの仕事をこなし、着実に能力やスキルを身に着けていくことはもちろん重要ですが、一気にレベルアップを図りたい場合におすすめなのが資格取得です。

人事担当者に特におすすめの資格は、以下の2つです。

・社会保険労務士
・キャリアコンサルタント

社会保険労務士

社会保険労務士は、社会保険や労働関連の法律の専門家として人事や労務管理を行う人のことです。自分で担当できる仕事の幅がぐんと広がりますし、国家資格でもあるので自分には箔をつけることができます。さらには、開業社労士として独立することも見えてくることでしょう。

社労士の資格勉強は通信講座を購入して勉強することをおすすめします。社労士の通信講座については以下の記事で解説しているので、ぜひご覧ください。

キャリアコンサルタント

キャリアに対して多様な価値観や選択肢が広がっている現在、キャリアコンサルタントの需要も高まっています。キャリアコンサルタントは人材紹介企業で働くイメージが強い方もいるかも知れませんが、資格を活かして活躍することができる場は広がっています。

特に企業がキャリアコンサルタントを社内に配置するケースが増えています。社員の適性に応じた育成や従業員一人ひとりに寄り添ったキャリア相談を実現したいという企業ニーズがあり、企業によってはキャリアコンサルタントが在籍していることをアピールポイントとして打ち出していることもあります。

また、キャリアコンサルタントは社会保険労務士と同様に国家資格となっているので、自分のキャリアに箔をつけるという観点でも非常に意味のある資格になるかと思います。

②人事として繋がりを作る

人事担当者として、他の企業と横の繋がりを形成することは自分のキャリアアップにもプラスに作用します。

その繋がりがそのまま転職のきっかけになることもありますし、ある企業で人手が足りなくなったときに副業や兼業の話が舞い込んでくるかもしれません。

そこまでではなくとも、人事として多くの繋がりを持っておき他の企業の担当者と定期的な情報交換がすることができれば、それだけでも十分に価値のあることです。自社に取り入れたいノウハウを教えてもらえる機会もあることでしょう。

最近は人事系のサークルやオンラインサロンも多数登場しているので、気になるものにぜひ参加してみてくださいね。

まとめ:人事のキャリアの展望

今回は、人事担当者のキャリアパスと求められる能力について解説しました。

人材難かつ、諸外国と比較して企業成長が鈍化している日本において「ヒト」の重要性は今後も高まる一方です。それに伴って人事担当者の活躍は今後さらに必要になってくることは間違いないでしょう。

基礎的な人事担当者としての能力はもちろん、時代に合わせた新しいスキルを獲得することができれば、キャリアの幅は大きく広がることでしょう。

今回ご紹介したように、人事の副業や兼業もそれほど目新しいものでもなくなってきています。いろいろなことにチャレンジしながらぜひ人事としてのキャリアを切り拓いていってくださいね。

今回は以上となります。最後までご覧いただきありがとうございました。

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