2021年8月9日(月)、「手取り25万」をめぐる論争がTwitterを中心にSNS上であふれ、トレンド入りしましたね。
ことの発端となったのは、求人情報サイトなどを運営する「株式会社ビズヒッツ」が7月2~17日に実施した調査で、手取り25万円の男女426人を対象とした「手取り25万円できついと思うことランキング」のアンケートが公表されたことです。
この情報をツイートした「ITmedia ビジネスオンライン」の投稿は、2.6万件を超えるいいねを獲得するなど大きな反響を見せています。(記事執筆時点の2021年8月11日現在。)
調査結果は、1位が「欲しいものを買えない」、2位が「イレギュラーな出費への対応」、3位が「あまり貯金ができない」、などと続きました。
これを受けてSNS上では、「まず手取り25万も貰えるのは当たり前じゃない」「25万は確かに厳しい」「手取り25万って割と良くない?」など、実にさまざまな意見が飛び交いました。全体的には、「手取り25万円ももらえたら嬉しい」という前向きな意見が多かったように思います。
今回の記事では「手取り25万」についてさまざまな視点から深堀りし、手取り25万円はキツイのかどうかを解説していこうと思います。
結論:手取り25万円はきついのか?
先に結論から言っておくと、手取り25万円はキツいというより「不満足」という表現が適切かと思います。
詳しくは後述しますが、手取り25万ならある程度不自由なく生活を送ること自体は可能です。ただ、何かにつけてお金に関する不安が頭をよぎることが多いため、どうしても不安や不満を感じることが多くなってしまうのが現実です。
実際にアンケート結果を見てみても、全体的に不安や不満を表しているような結果となっています。
以下からは、手取り25万円の実情について詳しくみていきます。
手取り25万円の額面は?
まず、手取りで25万円をもらうためには、社会保険料・所得税・住民税などを加味すると、額面では最低でも30万円ほど必要です。
ただし、年齢や扶養人数、居住地域によってかかる税率は変動するため、場合によってはもっと額面が高くないと手取り25万円には届かない場合もあります。
年齢や居住地域などによって控除額が変わるので個人差がありますが、一般的には手取り額は額面の75~85%になるといわれています。
自分の手取り額を計算したい場合は、ファンジョブなどの手取り計算のシミュレーションツールを活用してもいいでしょう。下記の図は、ファンジョブで額面30万の時に、手取りでいくらもらえるかをシミュレーションしてみた結果になります。(東京都在住・40歳未満・扶養人数0人・交通費/残業代0円の場合で計算。)
このシミュレーションでは額面が300,000円の場合、手取りは250,140円となりました。やはり手取りで25万円をもらうためには、額面30万円ぐらいが1つの目安となりそうです。
手取り25万円の年収は?
手取り25万円の場合の想定年収ですが、ボーナスありの場合とボーナスなしの場合で異なります。
ボーナスありの場合
額面での年収は、約420~480万円となります。
月額給与:30万円×12ヶ月=360万円
ボーナス:30万円×1~2ヶ月分×2回=60~120万円
額面での年収が約420~480万円の場合、手取りでの年収額は約330~375万円程度になります。
ボーナスなしの場合
ボーナスなしの場合は、月額給与の30万円×12ヶ月=360万円がそのまま年収となります。
額面での年収が300万円の場合、手取りでの年収額は約285万円程度になります。
ボーナスありの場合は平均年収と同水準
厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和2年)によると、額面での平均年収は459万8000円です。そのため、手取り25万円でボーナスありの場合は、平均年収の水準とほぼ同程度といえます。
上記の平均年収はあくまで全世代を平均した数値になっているため、各世代別の平均値とも比較してみましょう。
年齢 | 平均給与 |
---|---|
〜19歳 | 179,600円 |
20~24歳 | 212,100円 |
25~29歳 | 244,600円 |
30~34歳 | 274,400円 |
35~39歳 | 305,200円 |
40~44歳 | 329,800円 |
45~49歳 | 347,400円 |
50~54歳 | 368,000円 |
55~59歳 | 368,600円 |
こちらの表の平均給与は額面金額のため、実際には各種保険料などの数万円が控除された金額が手取りの給与となります。
調査によれば、手取り25万円は35~39歳では平均的な水準であり、34歳未満の年齢では平均より高水準、40歳以上では平均よりも低水準になることがわかります。
手取り25万円の生活水準は?
手取り25万円の場合の生活水準はどのようになるのでしょうか。手取り25万円の生活水準は、独身・既婚・家賃の大小など、さまざまな要因で大きく異なってきます。ここでは代表的な4つパターンについてみていきます。
パターン①:独身・1人暮らしの場合
パターン②:独身・実家ぐらしの場合
パターン③:既婚・2人ぐらしの場合
パターン④:既婚・子どももいる場合
パターン①:独身・1人暮らしの場合
独身で1人暮らしの場合は、基本的に不自由のない暮らしは実現できます。
ただ、今回の「手取り25万円できついと思うことランキング」の結果にもあったように、自由に欲しいものが買えなかったり、イレギュラーな出費への対応が難しかったりと、やはり金銭面で苦労する場面にも出くわすことも多いでしょう。
仮に都内での1人暮らしを想定すると、家賃は1Rでも7~8万円、残りの額から携帯料金や水道光熱費などの固定費、食費や交際費など、日常生活を送るためにはどうしても必要になる金額を引くと、手元に残る金額は10万円前後になります。
近い将来、結婚やマイホームやマイカーの購入を考えているなら、できるだけ節約をして毎月5~6万円は貯金できるようにしていきたいところです。
パターン②:独身・実家ぐらしの場合
独身で実家暮らしの場合は、家賃などの固定費がないので手取り25万円であればかなり良い生活ができます。交際費などの人付き合いで必要になる金額を引いても、20万円程度は残るケースが多いでしょう。
また、仮に奨学金の返済や、実家に毎月お金を入れているとしても、15万円ほどは自由に使えるお金として残るでしょう。
やはり実家暮らしの場合は、家賃がかからないことが相当大きなメリットになります。
パターン③:既婚・2人ぐらしの場合
2人暮らしの場合は、パートナーが収入を得ているかどうかがで生活水準は大きく変わります。
もしどちらかの収入がなく、1人の手取り25万円だけで生活をしていくとなった場合は、相当な工面が必要になります。家賃7~8万円の1Rに二人で済むのは窮屈ですし、携帯代や交際費など基本的な支出はほとんどが2倍となります。
そのため、どこかの部分は必ず犠牲にしなくてはならない生活になるのが目に見えます。この場合は、好きなものを買うのはおろか、定期的にまとまった額を貯金することも難しいでしょう。
一方で、2人が同じ程度の収入、あるいは同程度まではなくても一定の収入がある場合は比較的余裕のある生活が可能になります。2人分の収入を合わせれば十分な住まいを見つけれられるでしょうし、お互いに貯金や好きなことへの投資もある程度はできるはずです。
パターン④:既婚・子どももいる場合
③同様に、こちらもパートナーが収入を得ているかどうかで生活水準は変わってきます。
仮に、どちらかしか収入がないとすると、都内では子どものお世話までをするのは相当難しいです。なんとかやりくりできたしても、子どもが3歳くらいまでかと思います。子どもは成長するにつれて、養育費や教育費などにかかるお金が高くなっていくからです。
2人の収入が一定額あれば、1~2人の子どもがいてもまずまず余裕を持って生活を送ることができます。きちんと支出の管理をすれば、将来のための貯金も行えるでしょう。マンションや戸建て住宅の購入なども、考えることもできるようになってくることもあると思います。
手取り25万円でできる貯金は?
今回の株式会社ビズヒッツが実施した調査によれば、手取り25万円で毎月の貯金額の平均は「27,155円」となっています。
また、毎月10万円以上の貯金ができている人がいる一方で、なんと「0円」と答えた方は10%以上にのぼっています。
手取りが25万円あれば、将来のためにも5万円程度は貯金に回せるとベストでしょう。
この先はもっと残酷な未来が待っている?
ここまで「手取り25万円」について、さまざまな角度からみてきました。
しかし、この先はもっと残酷な未来が待ち受けている可能性が高いです。いくつかまとめてみました。
①過去20年間で賃金は増えていない
②終身雇用は崩壊、会社が面倒を見てくれる時代は終わった
③大規模なリストラ
④退職金の大幅な減少
1つずつ詳しくみていきます。
①過去20年間で賃金は増えていない
日本以外の先進諸外国では、経済成長とともに順調に賃金も上昇しているのですが、日本は全く賃金が伸びていません。この先も日本のサラリーマンの給料が増えるということはさほど期待はできません。
②終身雇用は崩壊、会社が面倒を見てくれる時代は終わった
今やトヨタ自動車の豊田章男社長や経団連の中西宏明会長が、「終身雇用の限界」を訴えています。大手企業だから安泰という時代は終焉を迎えようとしています。
③大規模なリストラ
大手企業などでの早期希望退職者の募集に関するニュースは、連日のように報道されていますし、新型コロナウイルスの影響によって大規模なリストラや人員整理を行なっている企業も少なくありません。今の時代、大手企業も例外ではなくなってきています。
④退職金の大幅な減少
退職金は20年で約1000万円も減少しています。また、厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」によれば、退職給付(一時金・年金)制度がある企業の割合は80.5%とされ、約20%の企業は退職金自体がない時代になっています。
以上のように、「手取り25万円」の話題以外にも考慮しておかなければならない深刻な課題は多くあります。
現状打破のために「転職」or「副業」の選択肢を
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ちなみにキャリトレについては、以下の記事でも細かく解説しています。
初心者でも始めやすい副業を紹介
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こちらの記事では、新卒向けの副業をまとめて紹介しています。副業以外にも今すぐに始められる投資や節約術についても解説していますので、これから何か副収入を作りたいと思っている方の参考になると思います。
こちらの記事では、初心者でもとくに始めやすい「文字起こし」の副業のやり方を細かく解説しています。文字起こしの副業でも毎月3万円ほどは稼げるかと思います。
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まとめ:手取り25万円と言わず、より高みを目指そう
今回は「手取り25万円」について、さまざまな角度からみてきました。
繰り返しになりますが、手取り25万円はキツいというよりは「不満足」を感じることが多いと思われます。人生100年時代と言われる今、早いうちから将来設計をして「満足」のいく生活を送れるようにしたいですよね。
そのためにできることは本当にたくさんあります。自分に合った形できちんと将来設計をしていきましょう!
今回は以上になります。最後までご覧いただきありがとうございました。